これは、同改革本部が、2011年1月31日に、「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」を決め、東日本大震災の後も精力的に検討を進めて、同年4月28日に、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会「社会保障・税の番号制度」の要綱を定めたことを受けたものであった。
野田政権に変わった後も、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会で検討が続けられ、2011年12月16日に、「社会保障・税番号制度の法律事項に関する概要」がまとめられ、これに基づいて法案化され、政府は、2012年2月中旬までには閣議決定され、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」（通称「マイナンバー法案」）として国会に提出する予定である。
法案が成立すると、2014年には国民に共通番号を通知し、2015年1月から共通番号の利用が開始される予定である。
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共通番号制度は、税の分野で納税者を特定する納税者番号を、国民と外国人住民の全員に新たに付番して、社会保障分野（健康保険番号、介護保険番号、年金番号など）と共通の番号にするものである。
共通番号で個人識別されたデータは、「情報連携基盤」と呼ばれる中継システムを経由して相互に紐付けられるとともに、民間でもこの共通番号が事実上利用されることを暗に認めてい。共通番号を表面に記載したＩＣカードを任意に交付して、健康保険や年金手帳の機能を持たせて身分証明証とすることもできるようにすることが構想されている。
この共通番号制は、税と社会保障の分野における国民総背番号である。しかも、共通番号は公表され、勤務先や取引先の銀行などにおいて、当該市民の個人データの管理に利用されるから、民間においても事実上利用されることが予想されている。
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既に、住民基本台帳法の改正により住基ネットが構築されたが、住基ネットで取り扱われている情報は、主に本人確認情報だけであるのに対して、共通番号制で取り扱われる情報は、多種多様な情報であり、医療分野に関するレセプト情報も含まれ、その中には、傷病の名前等の詳細な情報も含まれることから、いわゆるセンシティブ情報が含まれている点で大きく異なっている。
そして、共通番号制では、前述したように、各種の情報を共通番号により紐付けしてマッチング（突合）できることから、国民の勤務先や家族の情報、各種納税・社会保険料の支払状況、社会保障給付に関する情報、そして、各種の経済活動や消費生活に関する情報が国家によって名寄せされて一元化されることになる。
これはまさに国民総背番号制であり、コンピュータ化された現在においては、この情報の一元化が実に容易になされることになっている。
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そのため、一旦、これらの情報が流出した場合には、国民にプライバシー侵害の深刻な結果をもたらすものとなるのである。
マイナンバー法案では、独立性の高い第三者機関として番号保護委員会を設けることにしているが、委員長及び6人の委員という構成であり、可能な限り非常勤を利用することになっていることから、第三者機関としての役割をどれだけ果たせるか疑問である。
このような共通番号制度は、導入にどれだけ膨大な予算がかかるか分からないものであり、費用対効果の面からも疑問がある。
以上のように、政府が導入を急ぐ共通番号は、まさに国民総背番号制であり、国民を監視するためのシステムとして構築されようとしているのであり、到底認めることはできない。
2011年11月に内閣府が実施した世論調査において、８３．３％が制度の内容を「知らない」と答えるとともに、この制度に対する懸念として、８５・７％が個人情報の漏洩などを挙げ、政府の情報管理体制への不安が大きいことが浮き彫りになっているところである。
私たちは、国民総背番号制を目指す共通番号制度の導入に対しては異議を述べて反対する必要がある。
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