[vision]
感覚の一。
外界からの光の知覚。
【光受容器】
◆眼球の視細胞(哺乳類の多く)
・可視光・紫外線・赤外線
・偏光の振動面(昆虫など)
ヒトの眼は偏光は識別できないが、網膜中心部にわずかに偏光特性
個人差はあるがハイディンガーのブラシ(黄色と青色の筋)が見える
◆眼球外光受容器(extraocular photoreceptor)
・松果体のピノプシン
・網膜神経節細胞のメラノプシン(霊長類。Hattar, 2002)
・尾部光受容器(ファオゾーム)(チョウ類に広く見られる)
・脳内神経細胞(イソアワモチ・アメフラシ)
【分類】
・中心視(注意と関係。サッケードで操作)
有効視野 effective visual field(イソプター視野。注意)
・周辺視
【経路】
歩行パターンの認識
◆光学的経路
・角膜
・前眼房
瞳孔の大きさを調節(2〜8mm)光の量はせいぜい16倍
虹彩内部の筋肉により、カメラの絞りに当たる
ただしこれだけでヒトの光受容幅(10^12倍)は説明できない
・水晶体(焦点調節)
毛様体筋・毛様体小帯の収縮・弛緩で調節
カメラがレンズとフィルム面との距離を調節するのと異なる
・硝子体
・網膜中の視細胞(光化学反応過程)
◆神経経路(網膜)
・視交叉(optic chiasm)
・全交叉
魚類・鳥類
・半交叉(hemidecussation)
哺乳類(ヒトでは55%が交叉)
鼻側線維は交叉し、側頭側線維は非交叉するのが普通
X細胞・Y細胞・W細胞の順に側頭側の例外的交叉が増える
・W細胞が進化的に古い経路のためか
・X細胞でも、網膜偏心度1度前後で一部交叉
鼻側側頭側重複 naso-temporal overlap)
特に背側・腹側では15度もの広い重複範囲
・膝状体系視覚経路(geniculostriate system)第1視覚系
・外側膝状体背側核
網膜神経節細胞(特にX細胞)からV1へ中継
・腹側経路・背側経路(DeYoe&Van Essen,1988,TINS)
・膝状体外系視覚経路(extrageniculate system)第2視覚系
光点の無意識の追跡や反射に役立つ
・上丘
網膜神経節細胞(特にW細胞)から入力
視床枕核あるいは視床後外側核へ出力
その後、主にV1以外の視覚野へ
・視蓋前域
・外側膝状体腹側核
・副視神経(AON; accessory optic nerve)
外側膝状体腹側核を経て副視神経核へ投射
・視交叉上核
外側膝状体腹側核を経る場合と、直接投射する場合
【特徴】
断熱せん断破壊
◆コントラスト感度(絶対閾)
・空間的コントラスト感度曲線(Campbell&Robson,1967)
・バンドパス特性
・複数のチャンネル
・時間的コントラスト感度曲線(Kelly,1971a;b; Kelly&Savoie,1978)
・低空間周波数(0c/deg)
高照度では感度低く20Hz程度のバンドパス(抑制のためか)
3c/degでは高照度でもローパス特性になる
低照度では感度高く10Hz程度のローパス
Kelly-Veringaの拡散モデル
(高時間周波数では感度の照度の影響小さい)
◆視力(解像度)
○30〜60秒
○超視力(hyper acuity)
・副尺視力(視角10秒など)
・両眼視差
・運動閾
○閾値
・Blochの法則(短時間呈示なら時間と線形)
・Riccoの法則(面積と線形)
カルチャーショックチャートの段階
◆U.Neisser(1967)の分類
・前注意的処理
・注意的処理
◆自然刺激の知覚
外側膝状体背側核では人工刺激と応答が異なる
(Felsen&Dan,2005; Olshausen&Field,2005)
◆色覚
◆形態視(形状)
・テクスチャー
・静止網膜像(stabilized retinal image)(Pritchard,1961)
形の構成要素単位で次第に形態視が消失
神経細胞が一過性にしか発火しないことによる
固視微動(fixation nystagmus)
・全体野(Ganzfeld)(Metzger,1930; Avant,1965)
初め色づいた空間知覚があるが、すぐに一様な灰・黒色になる
◆奥行き知覚
・両眼視差(両眼立体視・奥行)V2以降に選択的応答する細胞
・面の知覚(Gibson,1950)輪郭を持たない面
◆運動視
◆時間解像度・経時処理
・臨界ちらつき頻度(c.f.f.
・運動視
・継時的統合(Eriksen&Collins,1967)
残像75ms以上はもつ
視覚的同時は30ms以内
継時マスキング
逆行マスキング
◆輝度・コントラスト
・コントラスト感度曲線(Campbell-Robson curve)
・Stiles-Crawford効果(スタイルズ・クロフォード効果)
照射される網膜部位によって明るさの感覚が異なる
(瞳の中心より周辺を通る光のエネルギー効率が低い)
・側抑制
・マッハの帯(Lowry&DePalma,1961)
・対比(simultaneous brightness contrast, brightness induction)
面に対するV1の応答に対比効果(Kinoshita&Komatsu,2001)
◆欠如を補完する働き(Grossberg&Mingolla,1985)
・完結化(completion)断続した境界を心的に連結
・感性的補完(modal completion)(von der Heydt&Peterhans,1984)
主観的輪郭のようなありありと見える補完
・非感性的補完(amodal completion)(Sugita,Science V1に存在)
遮蔽で生じるような補完
・充填(filling-in)情報のない領域を、隣接する領域で埋める
・盲点
盲点に対応するV1の受容野(Komatsu,2000)
長い線分の盲点における補完(Matsumoto&Komatsu,2005)
・クレイク・オブライエン効果(コーンスイート錯視)(Ratliff,1972)
・ネオンカラー錯視(neon-color spreading)
stereogramの立体視でも生じる
fMRIで担当脳部位決定(Sasaki&Watanabe,2004)
・テクスチャ充填(初め空白に見えるが数秒で補完)
サルV3・V2が応答(De Weerdt,1995)
V1は応答しない
◆順応
・暗順応
・プルキンエ現象
・明順応
・残像(残効)
・マッカロー効果(紡錘状回による: Moriata,2004)
◆感覚
○光沢
・輝度の歪度で説明可能(Motoyoshi,2007)
・光沢残光生じる)
・ただしskewnessあっても光沢感ない画像存在
(このような画像でも解像度変化で光沢生じる)
○透明感
・光の物体内での内部散乱のモデル化(Jansen,2001)
・尖度、ハイライトと陰影パタンのミスマッチ(元吉勇)
◆錯視・幻視
◆視覚イメージ
イメージと実際の知覚とでV1で類似の応答
(Kosslyn et al.,1995,1999)
◆知覚安定性(恒常性)
推測は、できるだけ知覚を安定させる方向になされる
・大きさの恒常性(size constancy)
幼児の方が恒常性が低い可能性(Leibowitz et al.,1967)
・残像に関するエンマートの法則(Boring,1942)
残像は、投影面への距離に比例して大きい
奥行きの手がかりが豊富なほど恒常性が増大(小笠原,1935)
大きさ距離不変仮説(Epstein et al.,1961)
距離と大きさの比率が一定という法則が見えにも成立
偏相関による因果推定では否定的な結果(Oyama,1974)
・位置の恒常性(position constancy)
逆転眼鏡で恒常性破壊されるが、再構築される
アウベルト・フライシュル・パラドックス
(Aubert-Fleischl paradox; Dichgans&Brandt,1978)
固視する方が追視よりも1.6〜1.9倍速い運動に感じる
フィレーネ錯視(Filehne illusion)(Mack&Herman,1972)
追視中、静止対象が運動したりする現象
・リアフェレンス説(re-afference)
動眼筋への遠心性信号と運動視野の求心性信号が相殺
他の求心性信号exafferentは相殺されないので運動知覚を惹起
・オブジェクトの恒常性(視点不変性の問題)
視運動性眼球運動
前庭動眼反射
・明るさの恒常性(暗順応・明順応)
・絶対的な光強度ではなく光の反射率を明るさと判断
・色の恒常性
V4
◆恒常性の根拠
・無意識的推論(ヘルムホルツ)
・生態光学(ギブソン)
・オプティカルフロー(光流動パターン)
・ きめの勾配(密度の変化パターン)
・2+1/2次元スケッチ(不良設定問題の解決)(Marr,1982)
両眼それぞれの原始スケッチを融合させて生じる観察者中心座標系
視野の外も含めた物質中心座標系が3次元モデル
・一般像抽出原則(Nakayama,Shimojo)
・制約条件
・剛体性の制約条件(Ullman,1979)
・連続性の制約条件(Marr&Poggio,1976,1979)
【記録】
・ERG
・MDMT(magnetic distance measurement technique)
まばたきを計測(Koekkoek et al., 2002)
【変化を知覚】
タキストスコープ
ステレオスコープ(実体鏡)ステレオグラム
・反射型(ハプロスコープ: ホイートストーン,1838)
・屈折型(ブリュースター, 1843)
・偏光フィルター使用型
・ランダム・ドット・ステレオグラム(Julesz,1971)
【障害】
・白内障(老年性白内障)
・緑内障
・黒内障
・網膜剥離(ヒト網膜研究に用い特に若者標本は優れている)
・糖尿病による変性(ヒト網膜研究に用いるがあまりよい標本ではない)
・遠視(眼軸の長さ・毛様体筋)
・近視(眼軸の長さ・毛様体筋)
・乱視(角膜の表面がでこぼこ)
・視野狭窄
・病的暗点
・半盲(異名半盲(異側に半盲)・同名半盲(同側に半盲))
・黄斑回避(視野中心部の欠損)
・皮質盲
・盲視(残存視覚)
・皮質性色盲
・運動盲(motion blind)両半球後側頭葉(J.Zihl et al., 1983)
・diplopia(double vision)
・視覚失認(Lissauer,1890)
・統覚型視覚失認(apperceptive)(Benson&Greenberg,1969)
一次的再認の障害(視覚記憶の想起の障害)
模写が困難、視力・明るさの弁別・色覚・運動視は残存
CO中毒による損傷
・連合型視覚失認(associative)(Rubens&Benson,1971)
二次的再認の障害(視覚記憶とほかの記憶の連合の障害)
模写はできるが視覚対象が分からない(意味記憶)
後頭葉内側下部の損傷(主に脳血管障害)
・その他の視覚失認(Humphreys&Riddoch,1987)
・物体失認
・純粋失読
左脳 の視覚野と脳梁膨大の損傷(離断脳)
視覚・言語機能は保たれているのに文字が読めない
手でなぞると読める
視覚性失語(失語症)との併発は少ない
視覚性呼称障害で、手で触ったり音を聞くと呼称が思い出せる
・環境失認
・同時失認
6個の点からなる長方形は認知可能なのに点の数は分からない
・形態型失認
形態の模写が困難
COによる両側後頭葉の広範な損傷
・統合型失認
形態情報の統合ができない
血管障害による両側後頭葉の損傷
・変換型失認
心的回転などが困難
右脳 頭頂葉の損傷
・形態アクセス型失認
対象の構造に関する知識を問う課題が困難
両側側頭葉前方の損傷
・意味アクセス型失認
形態知識も意味知識もあるが、形態からその意味がわからない
左] 側頭葉・頭頂葉の損傷
・意味型失認
対象の意味知識そのものが障害
両側側頭葉や脳全体が損傷
・相貌失認(prosopagnosia)
IT野
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